SPSS 妥当性分析
妥当性分析は、アンケート項目(定量データ)が合理的に設計されているかを測るために使用され、因子分析(探索的因子分析)で検証します。研究者は変数と項目の間に期待される関係を持っています。因子分析の結果、因子(因子分析では変数とも呼ばれます)と項目の関係が期待と概ね一致していれば、妥当性が高いことを示します。妥当性分析は尺度データ専用であり、選択式や単一選択の性別のような非尺度の質問は妥当性分析を行えません。
妥当性分析とは
妥当性分析は、アンケート項目が合理的かつ有効に設計されているかどうかを評価するものです。因子分析を用いて、期待される変数と項目の関係を検証します。分析で得られた因子と項目の対応が期待通りであれば、妥当性が高いと判断できます。
機能へのアクセス方法
1. SurveyMarsシステムのアンケートの「分析結果」セクションに移動します。
2. 「SPSS分析」オプションをクリックして分析機能にアクセスします。
3. 「今すぐ分析」ボタンをクリックし、利用可能な分析方法から「妥当性分析」を選択します。

妥当性分析の設定
1. 妥当性を分析したい測定項目を選択します。
2. 分析項目をいくつかの側面(変数)に分けたい場合は、因子(次元)の数を手動で設定できます。設定しない場合は、固有値が1より大きいことを基準に因子数を決定します。
3. 選択したすべての項目が尺度型の質問(順序付けられた回答選択肢を持つ定量データ)であることを確認してください。

4. 「確認」ボタンをクリックして妥当性分析結果を生成します。

因子負荷係数の理解
因子負荷係数は、分析項目と因子との相関を表します。因子負荷係数の絶対値は関係の強さを示します。各分析項目には、異なる因子に対応する複数の因子負荷係数の値があります。
判定基準:
- 因子負荷係数の絶対値が0.4より大きい場合、その項目はその因子に割り当てるべきです。
- 各分析項目について、絶対値が最も大きい(かつ0.4より大きい)因子を見つけ、その因子に属するかを判断します。
因子負荷係数の例:
| 分析項目 | 因子1 | 因子2 | 因子3 | 共通性 (共通因子分散) |
|---|---|---|---|---|
| 分析項目1 | 0.765 | -0.066 | 0.093 | 0.598 |
| 分析項目2 | 0.676 | 0.081 | -0.017 | 0.464 |
| 分析項目3 | 0.657 | 0.207 | -0.205 | 0.517 |
| 分析項目4 | 0.645 | 0.271 | 0.089 | 0.497 |
| 分析項目5 | 0.501 | 0.457 | 0.085 | 0.467 |
| 分析項目6 | 0.311 | 0.697 | -0.005 | 0.583 |
| 分析項目7 | 0.226 | -0.669 | 0.130 | 0.516 |
| 分析項目8 | 0.191 | 0.644 | 0.046 | 0.453 |
| 分析項目9 | 0.476 | -0.187 | 0.542 | 0.555 |
| 分析項目10 | 0.001 | -0.048 | 0.968 | 0.939 |
注:上の表では、「分析項目5」は因子1の因子負荷が0.501、因子2の因子負荷が0.457で、因子1と因子2の両方と比較的高い関連を持っている(やや因子1が高い)ことを示しています。これは「交差負荷(いわゆる絡み合い)」の例であり、因子1または因子2のいずれかに割り当てることができます。同様に「分析項目9」も交差している例です。
特殊なケース:
- 「交差負荷(絡み合い)」項目:項目が複数の因子で0.4を超える因子負荷を持つ場合、それは「交差負荷(絡み合い)」と見なされます。これは非常に一般的で、通常は特別な処理を必要としません。ただし、項目数が多い場合は交差している項目を除去することを検討する場合もあります。具体的な処理は研究者が最適な結果を比較・選択して判断します。
- 「誤配置」項目:項目の因子割り当てが期待される関係と一致しない場合(例:項目1は因子3の項目9や項目10と一緒にあるべきだが、項目1が因子1に入っている)、これは「誤配置」と呼ばれ、削除して再解析する必要があります。
不適切な項目の削除
項目を削除すべき状況は主に三つあります:
1. 共通性が低い場合:分析項目の共通性(共通因子分散)が0.4未満であれば、その項目は削除すべきです。
2. 因子負荷が低い場合:ある分析項目のすべての因子負荷係数の絶対値が0.4未満であれば、その項目は削除すべきです。
3. 誤配置項目:分析項目の因子対応が大幅にずれている(誤配置)場合は、その項目を削除して再解析します。
妥当性の主要指標
1. KMO値:
- KMO > 0.9:非常に良い
- KMO 0.8 - 0.9:良好
- KMO 0.7 - 0.8:許容範囲
- KMO 0.6 - 0.7:平均的
- KMO < 0.6:不十分
2. バートレットの球面性検定(Bartlett's Test of Sphericity):
- 有意であるべき(p < 0.05)。相関行列が因子分析に適していることを示します。
3. 寄与率(Variance Explained Rate):
- 累積寄与率は一般に50%以上が望ましい
- 個々の因子の寄与率は10%以上であるべき
以下の表は妥当性分析で使用される主要用語の説明です:
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| 因子負荷係数 | 分析項目と因子との相関を表します。絶対値は関係の強さを示します。絶対値が0.4より大きければ、その項目はその因子に割り当てるべきです。 |
| KMO値 (Kaiser-Meyer-Olkin) |
因子分析のための標本適合度を測る指標。KMO > 0.9は非常に良い、0.8-0.9は良好、0.7-0.8は許容範囲、0.6-0.7は平均的、< 0.6は不十分とされます。 |
| バートレットの球面性検定 | 相関行列が因子分析に適しているかを検定します。有意(p < 0.05)であれば因子分析が適切であることを示します。 |
| 寄与率 | 各因子が説明する全分散に対する割合。各因子の寄与率は10%以上が望ましい。 |
| 累積寄与率 | すべての因子によって説明される全分散の累積割合。一般に50%以上が望ましい。通常は100%未満だが、多重共線性が強い場合には100%を超えることもある。 |
| 固有値 | 各因子が説明する分散の大きさを表す指標。一般的には固有値が1より大きい因子を抽出するが、専門的判断により1未満の因子を抽出することもある。 |
| 因子 | 変数や次元とも呼ばれます。因子分析において、因子は分析項目間の関係を説明する基底的な構成概念を表します。 |
低いKMO値のトラブルシューティング
KMO値が低い原因としては、以下のようなことが考えられます:
- 分析項目間の相関係数が低すぎる(0.2未満や有意でない)ため、情報の重なりが少なく情報をうまく集約できない
- 分析項目間の相関係数が高すぎる(0.8以上)ため、多重共線性が深刻でKMO値の算出ができない場合がある
- 分析項目間の相関係数は理想的には0.3~0.7の範囲が望ましい
解決策:
1. 相関関係を確認し、相関係数が過度に高い項目を除去します。
2. サンプルサイズを増やす。分析する項目数の5倍以上のサンプルサイズが推奨されます。
3. カテゴリカルデータが混入していないか確認し、含まれている場合はまずモデルから除外します。
妥当性の問題のトラブルシューティング
妥当性分析は、KMO値、バートレット検定、寄与率、累積寄与率、因子負荷係数、次元と項目の対応など、複数の指標を総合的に判断する必要があります。
重要なポイント:
1. 妥当性分析では、次元と項目の対応を期待に合わせるために項目を削除することがよくあります。
2. 最も重要なのは、次元と項目の対応が専門的な期待に合っているかどうかです。
3. 妥当性分析は、最適な結果を得るために複数回の比較と項目削除を必要とすることがあります。
4. 妥当性分析が何度行っても基準を満たさない場合は、個々の次元ごとに分析することを検討してください。次元が3つあるなら、3回それぞれ妥当性分析を行い、その後3つの分析結果を統合・標準化します。
重要な注意事項
- 妥当性分析は尺度データ専用であり、非尺度データは一般に妥当性分析を行えません。
- 妥当性分析は、KMO値、バートレット検定、寄与率、因子負荷係数、次元と項目の対応など複数の指標を総合的に判断する必要があります。
- 最も重要なのは、次元と項目の対応が専門的期待に合っているかどうかです。
- 共通性が0.4未満、すべての因子負荷が0.4未満、または誤配置項目がある場合は、その項目を削除すべきです。
- 「交差負荷」(複数の因子に高負荷の)項目は一般的で通常許容されますが、「誤配置」項目は必ず対処する必要があります。
よくある質問(FAQs)
Q1: 「交差負荷(絡み合い)」項目はどう扱えばよいですか?
A: 実際の分析では「交差負荷」項目は非常に一般的で、通常は特別な処理を必要としません。ただし、項目数が多い場合は交差している項目を除去することを検討しても良いでしょう。具体的な処理は研究者が比較・選択して最適な結果を選ぶことによります。しかし「誤配置」項目は確実に対処する必要があります。
Q2: 次元に項目が2つしかない状態で妥当性分析を行う必要はありますか?
A: ある次元が尺度項目2つに対応するだけの場合、KMO値は常に0.5になります。因子負荷係数の値を直接記述することができます。負荷係数がすべて0.4を超えていれば妥当性が示唆されますが、次元あたり2項目のみでは信頼性の問題が生じやすいため、できれば各次元4~7項目程度が推奨されます。
Q3: 妥当性分析にKMO値だけを用いても良いですか?
A: 妥当性分析には固定的な基準はありません。最も簡単な妥当性チェックはKMO値が基準(一般的には0.6)を超えているかを確認することです。具体的な妥当性分析方法については関連文献を参照してください。
Q4: 固有値が1未満でも因子を抽出できますか?
A: 抽出の可否は専門知識とソフトウェアの結果を総合的に判断する必要があります。固有値が1未満でも、状況によっては因子を抽出することが可能です。
Q5: 累積寄与率が100%を超えた場合はどうすればよいですか?
A: 通常、累積寄与率は100%未満であるべきです。データの多重共線性が過度に強いと、寄与率が100%を超えることがあります。この場合、相関分析を行い相関が過度に高い(例:相関係数 > 0.8)項目を見つけて分析から除去し、再解析してください。サンプル数が少なすぎる場合にも同様の問題が生じることがあるため、サンプル数を増やすことも検討してください。
Q6: 信頼性分析や妥当性分析で削除した項目は以降の分析でどう扱うべきですか?
A: 妥当性分析(あるいは信頼性分析やその他の分析)で不合理と判断され削除すべきとされた項目は、その後のすべての分析方法で一貫して除外すべきです。データ自体を直接削除するのではなく、その項目を分析から除外する形で扱ってください。